ソンチョ

田舎の中でも超田舎。俺の生まれ育った村は、もうずいぶん前に市町村統合でただの一地区になり下がってしまった。

これは、まだその故郷が○○村だったときの話。俺が小学6年生の夏のことだった。

その日はソンチョというあだ名の友達と2人で、村の上に広がる山の探険に行った。

ソンチョがなぜソンチョかというと、何を隠そう当時の村長の孫で、そのままソンチョと呼ばれていた。

村長の孫だからといって別段真面目というわけでもなく、どちらかというと不良で、

『立ち入り禁止』の立て札を見ると、真っ先に「後で入ってみようぜ」と言うような野郎だった。

俺はそんなソンチョが大好きで、いつもソンチョの後ろを追いかけていた。

「コンクリの道路は何もない。

 けもの道って知ってるか?クマとかタヌキとか、危険な動物が通る道のことだ。今日はその道を登ろうぜ」

使い古してかかとに穴が開いた靴が歩きづらいらしく、ソンチョは山に着くなり裸足になった。

もちろん、靴下なんか履いてない。

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